更新日:2016年11月07日

弥栄町の自然が作る「生きた味噌」/やさか共同農場(島根県)

弥栄町の自然が作る「生きた味噌」やさか味噌

やさか味噌

やさか味噌

 

やさか共同農場のある島根県弥栄(やさか)町は、冬には約70cmもの積雪を記録する、中国地方の中でも特に寒さの厳しい地域。年間を通して続く冷涼な気候と、今もなお残る美しい自然の中で、やさか味噌は作られています。

米を蒸す機械

米を蒸す機械

地元に密着した味噌作り、やさか味噌

やさかの味噌作りの始まりは、今から40年前。「自社で栽培している農産物を使い加工品が作れないか」と、1976年にスタートしました。それゆえ、やさか味噌に使用する大豆は、現在日本ではわずか6%しか流通していない国産大豆のうち、主に地元、島根県で作られたものを使用。お米についても、出来る限り地元でとれたものを使用するなど、地元に密着した味噌作りを続けています。

33~35℃、湿度60%のこの機械の中で麹を発酵します

33~35℃、湿度60%のこの機械の中で麹を発酵します

早速味噌工場に入らせていただくと、ふわっと漂ってきたのは酒蔵を思い出させるような麹の香り。工場内は、味噌作りに欠かせない麹を発酵させる部屋や、1回で300~400kgの甘酒が出来る大きな釜のある部屋などに分かれています。この工場内で行うのは、原料を混ぜ合わせる「仕込み」の段階まで。長い時間のかかる「発酵」は、工場から程近くの蔵で行われます。

 “自然任せ”が美味しい秘訣

蔵の天井に見える黒い斑点が「蔵酵母」

蔵の天井に見える黒い斑点が「蔵酵母」

工場で仕込んだ味噌は、壁のない、網で囲まれた蔵に移動させ数ヶ月~数年間にわたり長期熟成させます。これは、山あいの夏場でも27℃程度しかあがらない弥栄町の冷涼な気候があってこそ。ふと、蔵の天井を見上げると、黒い斑点のようなものがびっしり。一見、カビ!?とも思ったこの正体は、味噌づくりに欠かせない「蔵酵母」。壁のない自然に囲まれた蔵だからこそ、風などで自然の酵母がやってきてこの蔵に住み着いてくれるのです。そして、味噌の原料の一つである麹とこの天然の酵母が、じっくり時間をかけて味噌を発酵させます。

夏場にもなると、気温の上昇によって発酵が盛んになり、味噌の表面が約7cm近く発酵によって上昇するのだとか。正直最初は、「壁のない、こんなにも自然に近い場所で大丈夫なんだろうか…」と少し不安に思った私でしたが、弥栄町の気候と美しい自然の中で行う天然醸造こそが、おいしい味噌作りの秘訣だったのです。

やさかの味噌は、生きた味噌。

最後は色見表を用いて、同じ種類の 味噌を加え色の微調整を行います。

最後は色見表を用いて、同じ種類の 味噌を加え色の微調整を行います。

蔵の中にはなんと、2003年に仕込んだ13年物の味噌が。少しだけ味見させていただくと、今まで味わったことのない濃厚さと、それでいて角のない芳醇な味わいに、訪問したスタッフ一同でうなってしまいました。この、長い時間を経てできた深い味わいは、改めてやさか味噌が「生きた味噌」であることを実感させてくれました。

蔵で熟成された味噌は、再び工場に運ばれパック詰めを行います。この時には、熟成期間によって味噌の色もさまざま。市販の味噌の中には、麹菌の活動を抑えるため、このパック詰めの段階で加熱やアルコールを添加し麹の働きを止めるものもありますが、やさか味噌は加熱処理は行いません。やさか味噌は麹や酵母が生き続けているからこそ、発酵食ならではの栄養と、深まる風味と香りが楽しめるのです。

 

味噌汁や味噌炒めなど様々な料理にどうぞ(写真はイメージです)

味噌汁や味噌炒めなど様々な料理にどうぞ(写真はイメージです)

今回、実際にやさか共同農場を訪れたことで、社員皆さんの丁寧な仕事ぶりはもちろんのこと、弥栄町の美しい自然なしではやさか味噌が生まれないことを知ったのです。そして、生き続け変化してゆく「味噌」の奥深さも垣間見ることが出来ました。

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