更新日:2016年11月09日

炎の職人が「だし文化」を創る/新丸正(静岡県)

和食に欠かせない「かつお節」。日本人にはなじみ深い食材ですが、実際はどうやって作られているのか、意外に知らない人も多いのでは?秋川牧園でご案内している、静岡県焼津市のかつお節・削り節メーカー「新丸正」を取材してきました。

新丸正のかつおぶしこうしてつくります

かつおぶしはこうして作ります!

笑顔が素敵な新丸正、藁科さん

かつおぶしは簡単に言うと、①原料のカツオ(骨がついた状態)を97℃以上の釜湯でじっくり煮熟(しゃじゅく)した後、骨を取り除き、

作り方1

②水分率を用途に応じ10~20%になるよう、休ませながら乾燥を繰り返したもの。ここまでが『荒節(あらぶし)』と呼ばれるもので、主にだし用の“花かつお”として使われます。

作り方2

さらに、特有のカビを数回にわたり付着させ、独特の香りや風味をもたせると、『本節※』になります。ご案内している『かつおぶし(小袋)』や『極薄削りかつおぶし(小袋)』がこれに当たります。※2回以上のカビ付けをおこなった本節は「枯れ節」とよばれる高級品となる。

 

『かつおぶし(小袋)』(右)『極薄削りかつお』(左)

『かつおぶし(小袋)』(右)『極薄削りかつお』(左)

こうすると簡単な製造工程に思えるかつお節ですが、原料から製品になるまでに、本節だと実に4ケ月もの時間がかかります。さらにその中でも、焼津ならではの乾燥方法が“新丸正のかつおぶし”に重要な役割を果たしているといえるのです。

まさに炎の現場!「急造庫(きゅうぞっこ)」

1日約5、6時間を数日間かけて薪をくべ続けます

1日約5、6時間を数日間かけて薪をくべ続けます

現在のかつおの乾燥は、この焼津の地で発祥した「焼津式乾燥機(薪火による熱風を強力ファンで行き渡らせる)」を用いるメーカーがほとんど。新丸正ではこれに加え、昔ながらの「急造庫(きゅうぞっこ)」で仕上げの乾燥をします。加工用途に応じた広さの薪床に3~4つの火をくべ、上階の乾燥庫に並べたかつお節を乾燥させますが、職人さんが薪をくべる様子はまさに炎の職人技!(夏場は工場内が50度近くになるそう!)

これが荒節

これが荒節

国内のかつおぶしメーカーは、実は江戸時代からの歴史の中で、荒節・本節までをつくる1次加工と、削り節にする2次加工とで分業するところがほとんど。でも、より顧客のニーズに応えられることを重視し、新丸正では40年以上前から、原料の仕入れから削り加工までの一貫製造体制をとっています。

 

台手前の計量穴に、重さが均等になるよう削り節を落とし込んでいく。簡単そうだが経験のいる作業。

台手前の計量穴に、重さが均等になるよう削り節を落とし込んでいく。簡単そうだが経験のいる作業。

14個の刃がついた回転式カンナ。用途に合わせて削りの厚みを微調整する

14個の刃がついた回転式カンナ。用途に合わせて削りの厚みを微調整する

かつお節を削る姿。昔は家庭ごとに見られた風景でした。しかし今では、削り節パックを買うのが当たり前、手軽なインスタントだしが好まれる時代。しかし、身近な伝統食材・かつお節は、実は想像以上の手間をかけながら伝統を継承されているのだと実感した取材でした。伝統を守るという強い想いを軸にしつつ、流行に着目したコラボ商品や、海外向けの商品開発などを取り入れながら、新丸正は「だし文化の継承」に躍進しています。

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