更新日:2018年04月11日

あなたの畑・あなたの牧場がここにある(アグリロハス4月号)

近年、日本の鶏肉の消費がぐんぐん伸び、その消費量の伸び率は食肉の需要の中でトップを走る勢いが続いています。

確かに、牛肉や豚肉に比べてお値段が安いのは魅力かも知れません。しかしながら、鶏肉が、牛肉や豚肉に比べて、値段が安いことは、多くの消費者の常識として、ずっと前から分っていたはずです。

では、なぜ、最近、鶏肉の消費が増えているのか?

その答え、それは消費者の皆さんの“賢さの進化”にあるのです。かつては、「鶏肉は安い分、その栄養も少ない・・・」と多くの方が、間違って思っていたと、考えられるのです。

 

なぜ、鶏卵と鶏肉は栄養当たりの値段の安さで勝ち抜いたのか?その鍵となるハイブリッド育種

鶏肉や鶏卵は、安いが、栄養も少ないというのではなく、栄養も多くて値段が安い、つまり、「栄養当たりの値段が安い」。ここが、大きな魅力なのです。では、なぜ、動物性タンパク質でのコスト競争の中で、鶏がそのトップの座に立つことができたのでしょうか?

その答えを一口で言えば、「家畜の中で品種改良が一番進歩したのが鶏だから」です。その理由をお伝えしましょう。

 

  • ①鶏は卵から誕生して5ヶ月もすると卵を産むようになります。ところが牛になると、子牛が誕生してから大きくなり、自分の赤ちゃんを産むまでに約26ヶ月もかかります。つまり、鶏は世代交代が早いことが、品種改良を進歩させる大きな力となっているのです。

 

  • ②次に、鶏は生涯の間に1,000羽近くもの卵を産むことができます。つまり繁殖率が高いこと、それ自身が品種改良上の大きな強みとなるのです。

 

  • ③鶏は、雑種強勢を活用する育種改良の申し子。他の家畜と比較して、鶏の品種改良が大きく進歩したその理由として、ハイブリッド育種(雑種強勢育種)の力が挙げられます。

 

③のハイブリッド育種とは、普通の育種改良が「良い遺伝子を集積する」というオーソドックスな方法であるのとは対照的に、「効果的な遺伝子の組み合わせを見付ける」という育種方法です。

実は、このハイブリッド育種が大成功した、選ばれし申し子が、この世の中に二つあります。その一つが鶏、そしてもう一つがトウモロコシです。

ちなみにトウモロコシは、かつて全米の収量は10アール当たり400kg台でしたが、ハイブリッド育種が成功し、遺伝子組み換えが普及する前の段階で、1,000kg近くの収量にも達しています。

子供は両親の持つ遺伝子の能力を足して2で割る・・・つまり、子は両親の能力の平均となるのが普通ですが、子供が両親の平均よりはるかに高い能力を出した時、この雑種強勢の力が発揮されたことが分かるのです。

太平洋戦争後の食糧不足の中、その困窮は想像を絶するものがあり、極微量の配給制度において、国民は、栄養失調の中で辛苦しました。教員の給料が500円だったという時代に、卵は今と変わらず1個20円もしていて、給料のすべてで卵を買ったとしても、僅か25個しか買えないという厳しい時代でした。

今、仮に20万円の給料で卵を買ったとすれば1万個も買えて、それは当時の30年分もの卵にも相当するものとなります。

このように、卵やお肉の生産コストが落とせて来た背景には、飼育技術の革新とともに、鶏の品種改良の成果が大きいのです。

 

すべての食べ物を安心安全、そして栄養豊富に。

秋川牧園創業の1972年、そして、私の父、房太郎による1927年の秋川農園の創業でも、牛肉、豚肉、鶏卵、鶏肉、野菜、果物等、すべての食べ物づくりに秋川牧園は「すべての食べ物を安心安全にする」をモットーに、携わっていました。

そして、その理念は、これからも、しっかり継承されて行くことでしょう。それは、「すべての食べ物を安心安全・そして栄養豊富で活力のあるものにしたい」、その願いからに他なりません。

消費者、そして生活者の皆様方が、すべての食べ物について安心安全が食べられ、色々な食べ物の栄養の恩恵の中で、その栄養は充たされ、健康が息づいて行くものにしたい、と願っています。

生産品目が多いということは、品目ごとの作付面積や経営の単位が小さくなることを意味し、さらに経営に対する厳しさが要求されることにもなります。

「すべての食べ物を安心安全にする」という農業者の使命感と、消費者、生活者の、だれもが安心安全を食べられ、健康という幸せが享受される、これからも、すべての食べ物を安心安全にする、この農業理念、経営理念を大切にするところが当社・秋川牧園の理念なのです。

そして、すべての食べ物づくりを目指す秋川牧園だからこそ、消費者の立場に立った食べ物の摂り方(食べ方)について、公正な提案ができるものと考えています。

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