更新日:2016年11月12日

知識と感性でつくりあげる醤油。片上醤油

33片上醤油_5片上醤油は昭和6年創業。木桶仕込み・天然醸造の手法を守る、昔ながらのお醤油屋さんです。

伺ったこの日、近づくにつれ漂ってきたのはなんとも香ばしい香り。良い香りだな~とうっとりしていると、店の近くで出会った方が「ええ香りやね。匂いにつられて、俺も今醤油を一本買ってきたとこなんよ。」と、笑いながら話しかけてくれました。香りで商品が売れるなんて、なんだか焼きたてパン屋さんみたいです。

 

片上醤油、片上裕之さんと、奥様の公美さん。

片上醤油、片上裕之さんと、奥様の公美さん。

 

片上さんのお醤油は、落語好きで温厚な印象の片上さんとは反対に、しっかりとした香り・旨味のある力強い味わいが特長です。初めて片上さんの醤油を使用した方から、「ここの醤油で、すき焼きを作ったら、今までの半量ですみました!」と、驚きの声が届いたこともあるのだとか。

その背景には、醤油に対する豊富な知識と、片上さん「らしさ」があるのです。

豆蒸しが腕の見せどころです。

「うちが他と違うのは『豆蒸し』の差だと思います。」

醤油作りの中でも、片上さんが大切にしているのが大豆を蒸す工程。目指す蒸し上がりの大豆は、見た目は丸い大豆、けれど小指で触れただけで崩れてしまう。そんな、辛うじて形を保っているような柔らかさがいいのだそう。このギリギリの見極めが難しいそうで、煮すぎると栗きんとんのようなペースト状になってしまうんだとか。けれど、限界まで柔らかく豆を蒸すことで、豆に含まれる旨味成分が最大限搾り出せ、深みのあるおいしい醤油造りへとつながるのです。

ここで驚きが1つ。この豆を蒸すタンク、温度計がついていないのです。

「え?どうやって温度管理してるんです か?」と伺うと

「タンクに手を当ててヤマカンです。」

と笑う片上さん。

職人の経験(勘)が蒸し大豆の出来を左右する。

職人の経験(勘)が蒸し大豆の出来を左右する。

その日の湿度や気温、豆の状態などを確認し、今日は雨降ってるから昨日よりちょっと長めに~など、いつもブツブツ言いながら豆蒸しを行っているんだそう。

桶と会話する片上さん。

33片上醤油_4

醤油麹(蒸した大豆+小麦)に塩を加えて完成したもろみ。

醤油麹(蒸した大豆+小麦)に塩を加えて完成したもろみ。

一般的に、現在の主流はステンレス製タンクでの醤油造りですが、片上醤油では杉の木桶で醤油を仕込みます。タンクで仕込めば常に安定した味が出来る。対して、桶はそれぞれ住み着く菌が異なるため、同じように仕込ん だとしても、味や香りにごく僅かな違いが生まれるのだとか。そんな、一つひとつの個性を把握しつつ、「私が頑張ると、桶に良い菌が増えて美味しい醤油を作ってくれる。私がやる気をなくすと嫌な菌ばっかりになって桶もやる気をなくすんです。人間と一緒に頑張ってくれるのが桶なんです。」と片上さんは語ります。 きっと、片上さんにしか聴こえない『桶の声』があるんですね。

 

「こいつ(桶)にはあの醤油を任せたろか・・・と、ブツブツ言いながらやってます」と片上さん。

「こいつ(桶)にはあの醤油を任せたろか・・・と、ブツブツ言いながらやってます」と片上さん。

 片上さんとお話ししていると、本当にお醤油が好きなんだなと感じさせられます。マニアックとも言える程の豊富な知識と、片上さんの感性がつくり上げたお醤油。ぜひご賞味ください。

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