更新日:2018年03月17日

伝統を重んじながらも時代に合わせた変化を取り入れる。/礒金醸造工場(山口県)

明治末期に創業し、味噌や醤油、麹などの製造・販売をしている礒金醸造工場さん。山口県産の米や麦、大豆を使用した味噌は、秋川牧園でも人気です。伝統を重んじながらも時代に合わせた変化を取り入れて、家族経営の小さな醸造工場を営む四代目、礒金大樹さんのもとを訪ねて来ました。

地元で愛され続ける存在

現在でも個人宅のもとへ訪問し味噌や醤油などを販売する、昔ながらの醸造元である礒金さん。地元・阿知須では、まさにふるさとの味となっています。代々、他の醸造元では対応しきれない麹のオーダーメイドを強みに、地域ニーズに応え続けてきました。

訪問した日は麹作りをしていないとのことだったので、特別に麹室(こうじむろ)を覗かせていただきました。麹が無い状態でも、壁や麹箱からは、長年しみ込んだ米の発酵によるほろ甘い香り。真冬でも少し暖かさのある麹室は、なんとも癒されるような場所でした。醸造蔵には独自の麹菌が棲みつくため、同じ原料や製法でも出来上がりには「蔵グセ」が出るのだとか。礒金さんは、麹菌が棲みつく昔ながらの工場、設備を大切にし、長年の味を守っているそうです。

地元のお米を使って

山口県のお米を使用して味噌を作る礒金さん。ある時、知り合いの農家さんから「お米は販売価格から中間手数料等を引かれるから、実際の手取りは少ないんよ」という苦労を聞き、「だったら、うちで直接買い取らせてもらって、地元原料の味噌を作っても良いですか」と提案したそう。その話が口コミで広まり、だんだんと地元産のお米が集まるように。地元に根付いた礒金さんならではのお米ネットワークが生まれたのです。

小さな醸造工場を継ぐ決意


穏やかな口調で優しい人柄を感じさせる大樹さん。子供の頃から、「大変だから、家業は継がなくても良い」と言われながら育ってきたそう。家業を継ぐきっかけとなったのは、大学を辞め、実家に戻った時のことでした。「戻った当初は転学を考えていたのですが、家業の手伝いをしているうちに、うちの味が地元で愛されているということも、その味を両親が苦労して守り残してきたこともわかってきて」。だんだんと、家業をここで終わりにするわけにはいかない、と決意が固まって来たそう。

味噌や醤油などの作り方は、三代目の父・竹雄さんの背中から見よう見まねで学び取り、一人前に。現在は代替わりの時期に差し掛かり、製造や配達をしながら今後の経営も考えているそうです。「味噌などの消費が減ってきている現状なので、業界も変わりつつあります。『この小さな工場がどうやって生き残っていくか』を考えながら、新しいニーズや新しいことも取り込んでいき、昔ながらの味を守りたいと思っています」。

優しいコクと甘さ、そしてどこか懐かしさを感じる礒金醸造工場さんの生みそ。そこには、愛される味を大切に守り続けたいという、作り手の静かな情熱がありました

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