更新日:2017年07月29日

全国モデルとなり、農業の未来像を! /飼料用米プロジェクト(山口県)

飼料米は籾(もみ)ごと配合します。

飼料米は籾(もみ)ごと配合します。

秋川牧園では、遺伝子組み換え原材料の混入を防ぐため分別生産流通管理を行ったとうもろこしや大豆、収穫後無農薬(PHF)の作物を使用した飼料づくりを確立するなど、畜産物の健康に直結する『飼料』には早くからこだわってきました。しかし残念ながら、コストの面から飼料原料の多くは海外からの輸入に依存せざるを得ません。

秋川牧園では、2009年から飼料米の栽培を開始し、国内自給率を上げて飼料コストを下げる取り組みを行ってきました。スタートから8年、圃場の拡大や飼料米タンクの完成など、飼料米栽培の規模は大きな成長をみせています。

鶏糞を利用し、農地を守る!

4年前は耕作放棄地だった山口市陶(すえ)地区。今では田園風景が広がり、近隣住民からもうれしいお声をたくさんいただけているんです。

4年前は耕作放棄地だった山口市陶(すえ)地区。今では田園風景が広がり、近隣住民からもうれしいお声をたくさんいただけているんです。

秋川牧園では鶏を飼育する上で大量の畜糞が発生します。その畜糞をしっかりと発酵させて堆肥にし、飼料米農家に使ってもらいます。農家にとっては経費削減かつ土づくりにもなるという長所。さらに山口県内の耕作を放棄された水田を栽培地として、活用することで、田んぼを守ることに。できあがった飼料米を鶏が食べ、また畜糞が発生する…という新しい地域循環を確立しました。

飼料米で新しい地域循環

情報交換し、飛躍させる!

飼料米視察会の様子

飼料米視察会の様子

年2回、秋川牧園グループの約20件の飼料米生産者が、お互いの飼料米圃場をチェックし、技術を高めあう「飼料米視察会」を行っています。また毎年開催される飼料米勉強会には熱心な生産者が集い、飼料米についての知識を深めています。飼料米の重要性は全国的にも広がりを見せ、今年は農林水産省が『飼料米多収日本一』大会を開催するほどに。秋川グループのひとつである二島西(ふたじまにし)営農組合は中国四国エリアで多収穫が評価され、『中国四国農政局賞』を受賞。

中国四国農政局賞受賞式の様子 秋川社長・社員と生産者

中国四国農政局賞受賞式の様子 秋川社長・社員と生産者

「視察会での意見交換が非常に参考になる」と、二島西営農組合代表の福江さん。各生産者がお互いの技術を高め合い、より良い方向に進んでいるようです。

コスト削減と早期の田植えがカギ!

2016年11月、国の補助もいただき、飼料米タンクが秋川牧園の敷地内に2基誕生しました。飼料米生産者から収穫した飼料米をすべてここに集約することで、保管コストを削減。

飼料米タンク(直径:11.2m 高さ:11.7m)2基合わせて最大700tも保管できます!

飼料米タンク(直径:11.2m 高さ:11.7m)2基合わせて最大700tも保管できます!

また飼料会社から農場に飼料を届けたトラックが、帰りに秋川牧園に立ち寄りタンクの飼料米を飼料会社へ運搬するので無駄がなく、利便性が格段に向上しました。

飼料米がこのタンクから飼料会社へ初めて出荷された日。

飼料米がこのタンクから飼料会社へ初めて出荷された日。

稲を大きく成長させ、多収穫できるように早期に田植えをしなければならない飼料米は、5月末から6月初旬までには田植えを終えたほうが良いのですが、麦等の二毛作を行っている場所もあり難しい面も。ため池から水が引ける時期や、自分達の食用米の田植えもあったりするので、時期を早めるのもそう簡単なことではありません。

田植えの様子(2017年6月9日)

田植えの様子(2017年6月9日)

やるべきことはたくさん!

飼料米は軌道にのってきたものの、病害虫対策に品種改良など課題はまだまだたくさん。現在は鶏の飼料にしか配合されていませんが、今後は豚、牛にも広げていき、配合比も増やしていく予定です。農家、地域、国が協力して進める壮大なプロジェクト。秋川牧園がモデルとなり、農業の未来像を示していけるよう、挑戦し続けていきます。

秋川牧園の商品一覧

おためしセット