更新日:2015年10月11日

喜界島のゴマの生産者/南村製糖(鹿児島県)

南村製糖&秋川牧園

日本のゴマの自給率をご存知ですか?国内自給率はわずか0.1%。私たちが食べるゴ マの99.9%は海外産です。そんな貴重な国産ゴマ、そして「美味しい」と 評価の高い黒糖の一大産地が「喜界島」です。

同じ南の島でもハブが生きていけない!?喜界島

喜界島位置喜界島は鹿児島県から南へ380km、奄美大島の程近くに位置します。

島の周囲は約50kmと、車で1時間あれば一周できてしまう小さな南の島。隣の奄美大島は「観光の島」として人気が高いですが、すぐ隣にある喜界島は「農業の島」です。鹿児島県から17:00にフェリーに乗り、早朝4:00に到着。日も昇らない真っ暗な中、南村さんと落ち合えるか不安でしたが、偶然にもフェリーで同室になっ た方が南村さんとお知り合いということで(島ならでは!?)、ご紹介いただけました。

「よう、いらっしゃいましたね~。フェリーは大変だったでしょう」と満面の笑みで出迎えてくださった南村フサエさんは、私の緊張もすぐにほどけるほどの温かなお人柄です。

喜界島の面積の大半が主にサトウキビ畑です。

喜界島の面積の大半が主にサトウキビ畑です。

南村製糖さんは「製糖」という名のとおり、さとうきびから黒糖を自社の工場で作る製糖会社です。南村製糖さんはじめ、喜界島のゴマ栽培は、主幹産業であるサトウキビを刈り終わり、次の作付けまでの間(間作として)に植えられます。サトウキビやゴマの栽培は沖縄・鹿児島県内多くの場所で行われていますが、「味の良さ」で評価が高く、ブランドとして確立しているのが「喜界島産」。その秘密は「土壌」にあります。

 

育てるサトウキビは茎の密度と太さが自慢!

育てるサトウキビは茎の密度と太さが自慢!

 

「喜界島は、サンゴ礁が隆起してできた島でね。アルカリ性の土壌で、しかも、海由来のミネラル分が豊富なんよ。その土壌の違いが、美味しさの違いやねぇ。何を作っても美味しいのよ」と話す南村さん。

島の石垣には、サンゴの姿。  サンゴ礁が隆起してできた 島であることを感じさせます。

島の石垣には、サンゴの姿。
サンゴ礁が隆起してできた 島であることを感じさせます。

ちなみにお隣の奄美大島は、古代に砂岩などが堆積してできた島で、土壌は強い酸性です。奄美大島で有名な「ハブ」は、喜界島にはいないとか。海を渡ることができないから?と思いましたが、真相は、土壌環境が違うため、たとえ島に入ってきたとしても生きていけないそうです。すぐお隣に位置していても島それぞれで土壌の性質はまったく違います。同じ品種の作物を育てても、島によって味や香りが違う。サンゴからできた、この島の土壌の豊かさが、サトウキビやゴマの美味しさとなって表現されているようです。

 

喜界島だからこそ生まれる味

南村製糖さんが黒糖とゴマを生産し始めたのは、今から17年前。50歳を過ぎてからのチャレンジでした。「もともとは小菊を栽培する園芸農家だったんよ。主人の父が黒糖製造していたけれどね。昔は集落にそういった個人製糖工場がいっぱいあったし、私の家の裏も製糖工場で、各家庭がそれぞれ作ってたさ。けど、大型の製糖工場(現在は生産したサトウキビを大型製糖工場に出荷するのが一般的)ができてから個人工場がどんどんなくなってしまってね。小菊栽培もなかなか軌道に乗らないし、そんな時主人から黒糖を作りたいと話があったの。今、つくっている人がいる間に、そのノウハウを教わって、廃れていく技術を残したい。それで農地もあるし、園芸農家から黒糖とゴマ作りに思い切って転進!やるからには本物をと思って今は奮闘中」と、ハツラツに笑います。

南村製糖

訪れた5月下旬は、サトウキビを刈り終わった畑にゴマを撒いたばかり。畑を見させてもらうと、「あっ!順調に芽が出とるね!」と小さな芽吹きに喜びました。

喜界島ゴマ芽吹き
喜界島のゴマは、お菓子の材料として黒糖と相性がいいため家庭用で100年以上も前から栽培されてきた在来種です。在来種の香り高さと濃厚なコクは喜界島独特の土壌・気候とともに育まれてきました。しかしながら、喜界島では山がないため、海からの風が直接吹き込んだり、夏に向け台風が多くなると苗がダメになることも珍しくありません。さらに、土づくりをしたり、ごまの収穫の多くは手作業で手間もかかり、サトウキビの間作といえども片手間でできるほど、易しくはありません。紺碧の海に囲まれた小さな島。その豊かな土壌に支えられて生み出される旨み。それとともにあるのは、自然と向き合いながら笑って前を向く、朗らかで力強い南村製糖さんの姿でした。

秋川牧園の商品一覧

おためしセット