更新日:2015年08月24日

食の安心安全への挑戦、そのルーツを遡る15(アグリロハス8月号)

健康で、意義ある人生を目指すのか…不安な食べ物、不安な人生を選ぶのか

さて、長引いていた梅雨も明け、猛暑、夏の盛りです。
暑すぎるのもどうかとは思いますが、この夏の暑さがあってこそ、お米もたくさんとれるのですから、少しは我慢ということでしょうか…。

さて、今回は、私のアメリカ物語。その続編です…。
冒頭、「健康で意義ある人生を目指すのか…、短命でもよいから、不安で安直な食事、そして不安な人生を選ぶのか」と、そんな意味の、少し、ショッキングな見出しとなりました。
よい人生によい食べ物、健康人生には多様な幸せがあると思いますが、人生の意義や、その在り方そのものがライフワークとも言えるのでしょう。
自分の人生の意義を全うする上で、特に大切なこと、それは、やはり、健康にあると思うのです。

私たちは、「よい人生に、よい食べもの」を、常に、提唱しています。
人々は、その幸せの基準として、お金を考える人も多いことでしょう。
お金は、たしかに大切かも知れませんが、人生、お金だけではないようにも思います。また、仮に、お金のことを考えても、安直な食べ物で、一旦、わが身の健康を害すれば働くこともできない、また、医療のためにも、多額の出費を重ねてしまうことでしょう。

どう考えても、健康は人生の基本、その原点には食べ物があるのです。

 

私の アメリカ物語 〜その2〜

さて先月号で、シアトル生まれの母のお話をしました。母は移民してきた祖父母に育てられる中、約一世紀前の帰国子女として日本の地を踏みました。
日本の言葉も話せなかった母は、夜になると提灯を下げて、毎日、日本語を習いに行ったという、今では想像も難しい光景が彷彿として浮かぶ中で、私には、アメリカという国は、異国というよりも、なにかの懐かしさを感ずるのです。

では、本論に入るとしましょう。
さて、今回は、ポストハーベスト無農薬を目指してのアドベンチャー・イン・USA、その紀行誌を続けます。
みなさんも、ご一緒に、広大なアメリカ大陸、そして、どこまでも続くトウモロコシ畑、人や車に出会うことも稀な一本道を車が疾走する…、そんな光景を想像してください。
なんと言っても米国は農業国、トウモロコシや大豆の生産は世界のトップ、日本の畜産も、その飼料の主体は米国産や南米産、これらの国とは無縁では成り立たないのです。

ポストハーベスト農薬をふりかけている様子

ポストハーベスト農薬をふりかけている様子

そこで、私たちが仕掛けたこと、それは、海外のトウモロコシを、日本流に、そして秋川牧園流に、安心安全に再開発することにありました。
中でもその大きな課題が、ポストハーベスト農薬でした。
ポストハーベスト農薬、それは収穫後に使用する農薬のこと。
「えぇ!! 海外では、収穫後に農薬を撒くの?」 確かに、日本では、ポストハーベスト農薬という言葉は無かっただけに、それは驚きでした。

 

知られていないポストハーベスト農薬

アメリカの農薬の袋の説明書きには、栽培中に使用する農薬については、収穫前使用農薬(プレハーベスト農薬)としての説明書があり、その同じ農薬の袋に、収穫後の保管中の穀物に混ぜ、穀象虫等の防除に使用するポストハーベスト農薬(Post-harvest agricultural chemicals)として使用案内が併記してあるのです。

栽培中に撒布する農薬と同じ農薬が、収穫した穀物の中に混ぜられることも多いこと、しかもそれが、私たちや家畜の口の中に入ると言う、日本ではとても考えられないことが日常のこととしてまかり通っている、これは驚きです。

ということは、日本の店頭でおいしそうに陳列されているパンの数々も、また、学校給食のパンでも、それが国産小麦でない限り、殺虫剤が、ポストハーベスト農薬として混入されているのはごく普通のことなのです。では、なぜ、農薬を混ぜるのか?

飼料サイロ

トウモロコシが貯えられるサイロ

トウモロコシや小麦等の穀類は、一年に一回しか収穫できない、一年一作の作物です。だから、翌年の収穫が始まるまで、その一年分を保管するのですが、夏になれば、保管穀物タンクの中の温度が上がり、害虫、穀象虫が発生し、穀物の商品価値がなくなる。
そして、その対策として、収穫時に穀物を入れる時、それと同時に農薬を混ぜるという…、こんな恐ろしいことが、海外の産地ではごく普通に行われているのです。

私たちは、この重大な問題についてなんとか解決策を見出したいと、1970~80年代にその挑戦を始めました。
アメリカの各産地、120箇所にも達する農家を訪問する中で、農薬を使わない保管についてその説得を試みますが、その返る答えは一様に、「インポシブル(不可能)」の一語に尽きるものでした。

「なんとか解決しなければ…」そこで、問題の穀象虫は、穀物の水分が多いと発生することに着目し、『水分率17%が分岐点、14~15%なら虫は付かない。』この仮説のもとで取り組みを進め、そしてそれが、遂に、大きな成功に繋がることになります。

もちろん、生産農家が、この水分の管理を年間に渡って行うことは、多くの負担を伴うものですが、その費用を最小限度に抑えるため、タンクの穀温計の設置や、穀温計連動のエアレーション(強制送風)等の組合せの工夫が大きな効果を上げ、やがて、不可能、インポシブルがポシブルになる…、ここにポストハーベスト無農薬コーンの誕生があったのです。しかし、課題は、それだけで終わりません。

このポストハーベスト無農薬トウモロコシを、大型穀物船による海運の時代の中で、どのように分別して積込み、そして、日本に持ち帰るのか、この最大の難関を突破する、そのプロジェクトXは、次号9月号で、お伝えしましょう。

(会員様向け週がわりカタログ コラムより転載   秋川 実)

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