更新日:2017年03月17日

あなたの畑・あなたの牧場がここにある(アグリロハス2月号)

今、新しい年を迎えて

まだ、寒さが厳しい2月ですが、お元気でお過ごしですか。牛は寒さには強いのですが、鶏は、少し寒さは苦手です。卵を産む鶏は、もう大人なので多少の寒さは平気、だが、若鶏はまだヒヨコ、寒さは苦手なのです。昔はお母さん鶏が、12羽位のヒヨコを羽で抱いて温めていましたが、今は、プロパンガスヒーターで…、1台のストーブで2000羽以上を温める、夜は寒さが響いて温度が下がりがち、農場では、夜間の温度管理にも手が抜けないのが、この冬の時期の掟なのです。暖かい春が、もう近い、それまでの我慢!!それでも暖かい昼間は、ヒヨコたちは大はしゃぎで走りまわる大運動会、それは、とても幸せな光景、いつまでも眺めていたいものです。

飼料用米が、故郷を守る今 全国の注目を浴びる 秋川牧園モデル

ご案内のとおり、昨年11月、大きく銀色に光る飼料用米の鉄板サイロが、国の応援を得て完成しました。今、飼料用米専用品種栽培の期待の星として、私共のこの活動が、多くのご注目をいただいているところです。我が社で飼料用米の栽培事業を始めたのは2009年から、お米を与えた鶏肉は大変おいしいと喜ばれて心強いところです。近月号では、皆さんとご一緒に飼料用米について考えてみたいと思います。

まずは、そこには深刻な米余りの現実があります。私のように昭和一桁世代の人間にとっては、お米も麦もなくて、腐りかけたサツマイモや大豆カスだけが配給された戦後の大食糧難の飢えの経験があり、今の米余りは想像すらもできなかったものです。米余りの原因は1963年から始まった米の消費減退にあり、以後、一貫して約50年間も消費の減退が続いている状況があります。

 

では、その原因は?

パン食が増えたのでは?と思いがちですが、ここ20年間は、パンも麺類もほぼ現状維持という情況が続いているのです。米の消費が減った主な原因は、栄養の摂り方が、主食主体から副食の充実に移行してきたことにあると言えそうです。

かつての日本人の食事構成は、動物性タンパク質や油脂の摂取が少なく、タンパク質、ミネラルまでも米からの摂取に偏重したことが、健康障害にもつながったと考える時、現代の食材の多様化については、必ずしも否定すべきものではないことでしょう。しかしながら、今では保温もできる炊飯器がどこの家庭にもある中で、ごはんは本当に簡単に用意できる便利なものです。しかも米は、カロリーの供給源としてはパン食や麺類よりも安価であり、お母様方に一番にうれしい家計の味方なのです。こんなにお得なお米をしっかり食べて、そこで浮いた家計の財源を安心安全な食べ物に向けたいところです。カロリーは、日本人に向いたお米に任せ、成長、健康、長寿に貢献する安心安全なお肉や卵を活用して行きましょう!お米が余ることで、日本の田んぼが荒廃する、それは、地方の崩壊、故郷の崩壊、美しい日本の田園の崩壊にもつながりかねません。農業者の老齢化が進み人手が激減する中で、農地を守ろうにも食用米は米余りでつくれない、毎年作付面積を減らして行かなければならないのです。

循環、鶏糞堆肥、秋川牧園、養鶏

そこで、最後のエースとして登場したのが飼料用米です。トウモロコシ等の飼料原料は、毎年、米の生産量の約2倍もの大量の量を輸入していて、その半分位は、飼料用米で置き換えることが可能なのです。しかしながら、農家から買い取る飼料用米の値段を、そのトウモロコシと同じ値段にしたのでは、農家は大赤字になってしまうという問題があります。そこで、飼料用米生産農家に対して相当額の応援がどうしても必要なのです。これは、決して農家の方の怠慢によるものではなく、米作と畑作との違い、山が多い日本の水田は圃場が狭くて巨大な農業機械が使えない等の止むを得ないコストの差があるのです。

日本の農地が荒廃してしまうと、事実上、その復元は困難でしょう。また、いつまでも、海外から安い農産物を輸入が出来るでしょうか?例えば、世界最大の穀物輸出国である米国でも、トウモロコシの輸出の割合は、国内需要の僅か15%程度のものです。天候に支配されやすい農作物のこと、不作はいつ起きても不思議ではない、自国の鶏や豚を餓死させてまで、外国に穀物を輸出することを求める事自体に無理があると言わざるを得ません。食べ物は、生命の根幹に関わるもの、多少のコストをかけても、自分たちの食べものは自分の国でつくる努力をすべきでしょう。しかるに、その日本の食糧自給率は、カロリベースで39%程度、先進国としては世界最低というところです。

ちなみに、米国は127%,フランスは129%、英国は72%、いかに日本の自給率が低いかが分かります。世界の天候異変は、何時起こっても不思議ではない、お米と言う主食を確保するため、農地は守らなければなりません。併せて、そのための国の財政の負担は、飼料用米の収量と生産性を上げることで、可能な限り、少なくて済むよう努力しなければなりません。その有力な切り札として期待されているのが、私達の、飼料用米専用品種による多収穫低コスト栽培、畜産との連携による堆肥の地域循環、そして、低コスト保管のエースである鉄板サイロなのです。

来月号、アクションについて、さらにお伝えして参りましょう。

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